2022.02.10

女性活躍の現場から:よくある質問「なぜ、女性を『優遇』するのか?」

ダイバーシティマネジメントの研修やコンサルティングの現場で、
必ずご相談や質問の声としてあがるのが「なぜ、女性を優遇するのか?」です。

特に男性と肩を並べて頑張ってきた女性から「性別関係なく能力で選ぶべきだと思う」という声が
必ずと言っていいほどあがります。
また「職場で男女で差をつけているつもりはない」「女性にもやる気がある人とない人と様々だ」「多様性なんだから、性別で選ぶのはナンセンス」という管理職の皆さんの声もよく耳にします。

確かにこれらのコメントは売上や利益を考えれば、おっしゃる通り。
現場で奮闘されている管理職やリーダーの皆さんにしてみれば、
ご自身たちが会社の成長に責任を持っているという自負から生まれるコメントだと思います。

しかし、ではなぜ、女性活躍のためにわざわざ「女性を優遇する」のでしょう?

その背景を探る前に、改めてダイバーシティマネジメントとは何かを認識共有したいと思います。

ダイバーシティマネジメントは「多様性」と直訳されますが、その多様性には、目に見える表層的な属性(性別・国籍・世代・時間制約・雇用形態etc・・・)といった人口統計学的多様性と、価値観や趣味嗜好、経験、能力、ライフスタイルなどの目に見えない深層的な認知的多様性があります。

今まで日本では冒頭の「能力で選ぶべきだ」という、経営判断に従って、属性を見ずに評価や登用をしてきたわけです。

しかし、ここに落とし穴があります。

高度経済成長時代は時間をかけて売上を伸ばしてきた時代
かつ、仕事にそして会社に人生の大半の時間をかけられる人を評価=「能力がある」とされてきました。

未だ日本の大手企業を中心とした評価者のマジョリティは、時間制約なく働ける人、会社に滅私奉公できる人・・・です。
だから、彼らは旧来の男性的な働き方ができる人を評価しがちです。
また仕事のチャンスもそういう働き方ができる方に与えがちです。

だから、まずは女性という属性にフォーカスを当てた採用や育成の施策、登用の数値目標を立てなければ、「時間制約なく働ける人」=男性とアンコンシャスバイアスが働いて、結果として女性活躍は進まない・・・ということになるのです。

まずは性別という属性の格差に目を向けるということが「機会の平等」になるのです。
機会の平等がきちんと与えられるということは、すなわちマネジメントに柔軟性があり、変化に強いということ。

優遇ではなく、今まで男性と比べ女性は機会が均等に与えられてこなかったから、
格差是正のために一定の期間特別な機会を与えるのです。

この考え方はポジティブアクションといって、男女共同参画社会基本法の趣旨です。
男女雇用機会均等法の中にも、ポジティブアクション についての条文があります。
そして女性活躍推進法につながっているのです。

古くて新しいポジティブアクション。
今年は男性育休取得促進も開始され、ジェンダー平等元年とも言えます。

このポジティブアクションの考えが広まってくれることが、私の今年の活動テーマの一つです。