2021.07.10

私が「女性活躍」をしつこくやり続ける理由

人事領域や人材界隈では、「もう女性活躍は一巡したよね」とか、「そもそも女性活躍って言葉がね・・・」というのは良く聞かれます。

「もう女性活躍は一巡したよね」は、研修業界などマーケット視点からの言葉でしょう。
一方で「そもそも女性活躍って言葉がね・・・」という言葉が出る方は性差別による社会的格差体験をしていなかったり、その渦中に自分がいても差別と気づいていなかったり、気づかないようにしていたり。あるいは、世界のなかにおける日本の女性の地位の低さや女性の貧困問題について勉強されていない、気づいていらっしゃらない、恵まれた環境の方なんだなぁと思います。

ちなみに私は母がシングルだったことから、子供の頃に女性であることによる社会的格差体験も、女性の貧困も母の背中から体験しています。
我が母は専業主婦から社会復帰をし、歯を食いしばりながら一生懸命働き、一馬力で私を私立の高校・大学に進学させてくれました。

そんな母の背中を見て、私は既に小学生の時に、「結婚しても、絶対仕事を手放すもんか。夫に自分の人生を委ねるものか」と決めていました。

そういう原体験は、今の私をカタチづくることにつながっています。

しかし、今はそれ以上に子育ての経験を通じて「女性活躍の循環は、次世代の自立型人材育成につながる」ということを考えています。

自分以外の人(夫)に自分の人生の経済的な軸を委ねていると、自分に自信を持てない女性が多いのです。

だから、

①「母親が経済的に自立をすることは、精神的自立(夫に依存しない)=自律」に繋がる
②旧来の伝統的な母親の枠にとらわれなくていいと気づく
③母親の自己肯定感が上がる。すると子どもを信じて、任せてみるようになる
④そういう母の背中を見て、子供の自己肯定感が上がり、自律に繋がる

と信じて取り組んでいます。

いくら「主体性」や「自律型人材育成」を標榜し、学校や企業で取り組んだところで、子ども時代に親から「失敗しないように、あれをしなければダメ」「これをしなさい」と、親や大人の想定の価値観のレールに乗る「呪い」の言葉をかけさせられ、自分で選択したり、決めたりしながら、自分の価値観をカタチ作る体験が少なければ、いきなり「価値観」なんてものは考えられないのです。

その呪いは、大人になってからも解き放つには時間がかかります。

子供達は一番身近な(母)親の生き方・働きぶりを、一つのロールモデルとします。

だから、まずは経済的自立をし、自己肯定感がある母親を増やしたい。

自己肯定感のある母は、子どもを信じて、子どもの選択を信じてやらせてみる(はず)。

自分も社会の中で、清濁併せ呑んで試行錯誤しながら、前進していると思うし。

そんな(母)親を増やしたいなぁ、と思うのです。