2026.06.21

「多様性」と「公平性」のあいだで揺れる管理職へ — 個別対応はどこまで必要か — 

 現場の管理職の方から、こんなご相談を受けることがよくあります。 

「多様性が進むなか、管理職はどこまで一人ひとりに個別対応をする必要があるのでしょうか?
また、それは不公平感を生むことになりませんか?」

本当に頭の痛い悩みだと思います。
そして、これは柔軟な働き方を進めれば進めるほど、どの職場でも、起きているとても本質的な問いでもあります。 

組織である以上、まず立ち返るべき前提 

まず、前提として私たちは個人で働いているわけではなく、「組織」で働いています。

そして組織には必ず、目的・目標があります。
組織の目的目標達成のために、 

  • 役割があり 
  • 職掌があり 
  • 求められる職務基準があります 

この前提をすっ飛ばして、 

「多様性だから配慮してほしい」「自分の事情を優先してほしい」 

と主張だけが先に立つと、それは「残念な多様性」になってしまい、本来の趣旨から外れた人事施策になってしまい、戦略とは言えなくなってしまいます。 

 それでも「個別対応」が必要になる理由 

一方で、現実の職場ではこうしたことも起きています。 

  • 育児や介護で働く時間や場所に制約がある 
  • 健康上の理由でフルパフォーマンスが出せない 

こうした制約によって、本来の優秀な人材が能力を十分に発揮できていないケースも少なくありません。 

このとき、「みんな同じ条件でやる」と一律対応をしてしまうと、結果として働き方に制約のある有能な人材の力を発揮しきれないことになります。

従来通りの条件では働けない人がいる。だからこそ、一人ひとりが力を発揮できる環境や条件に対応を整え、成果に向かえる状態をつくることが本来の多様性経営です。

つまり、 

  • 個別対応は「配慮」ではなく 
  • 活躍させるための「戦略」 

という見方が必要です。 

管理職に求められる3つの視点 

では、管理職はどう考えればよいのでしょうか。 

ポイントは3つに整理できます。 

① 組織基準を明確にする 
  • 職務で何を果たすべきか 
  • 制度がある以上、どこは柔軟にできるのか 

個別対応は「基準の中で行う」という対応が不可欠です

② 個別対応の原則を持つ 
  • 制約ではなく「業務への影響」で判断、マネジメントを工夫する 

たとえば時短勤務だから、責任ある仕事は外そう、という制約の有無で判断すると不公平になります。
そうではなく、「夕方以降の対応はできない。であれば顧客にも、夕方までしか対応できない」と事前に理解してもらったり、あるいは夕方以降は緊急の場合はチームでカバー、緊急でないものは翌日対応などの原則にする
など、業務設計で工夫をすることが求められます。

③ チーム全体で協働することが前提。チームで成果創出をする 
  • 時間で貢献できない制約のある人は別の形で貢献できることを探す
  • チーム全体で補完し合う
  • 貢献が偏りすぎないよう負担を分け合うよう管理職が設計する
  • 負担を担った人は評価をする

この問題は、本当に個別解になりやすく難しい場面もあります。しかし、
組織としての基準を守ることと、個人の事情に向き合うこと。 その両方の間で揺れながら、 その都度、最適解を探していくマネジメント設計基準をしっかり持っていれば乗り切れます。 

そして、その舵取りこそが、管理職に求められる重要な役割なのだと思います。

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